好きなお肉とお野菜で「ボッリート・ミスト」
- SFW
- 2020年4月20日
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イタリア料理において、様々なお肉を茹でたものを盛合わせた料理を『ボッリート・ミスト(Bollito misto)』と言います。
『ボッリート(Bollito)』は『茹でる』という意味で、英語での『ボイル(Boil)』、『ミスト(Misto)』は『ミックス(Mix)』という意味です。
ピエモンテやロンバルディア、ヴェネトなどの北イタリア一帯ではとてもポピュラーな冬の定番料理で、見た目はフランスの『ポトフ』がさらに豪華になったようなレストラン料理です。
牛肩肉やテール、タン、骨付きの鶏もも肉や豚の肩ロース、バラ肉、スペアリブやソーセージなど、入れるお肉には多くのバリエーションがあります。
様々な世代の親戚が集まる日に作れば、年配の方には柔らかく食べやすい仔牛や鶏を、ボリュームを求める若い世代には食べ応えのある牛や豚を、子供たちにはソーセージを取り分けるというように、それぞれが好みのものを食べられるということが大きな特徴です。
日本のレストランなどでは、1人前ずつ野菜も添えて提供されることが多いのですが、イタリアの本場では鍋ごとテーブルに出てきて取り分けるというスタイルが一般的です。
この料理において、お肉と一緒に出てくる付け合わせとして使われる野菜も多様で、現地ではジャガイモやキャベツがオーソドックスですが、彩りのよい野菜として人参やアスパラガス、カブラなどもよく見られます。
また、煮込みに使用してお肉を取り出した後のゆで汁は、濾してブロード(いろんな料理のベースとなるだし汁)として保存し、リゾットとして使ったり、味をつけてスープとして提供したりします。
この料理を供する際には、日本ではあまりなじみのない『モスタルダ』と呼ばれる調味料や、『サルサ・ヴェルデ』を添えるのが定番になっています。
『モスタルダ』とは、マスタード風味のシロップに果実を漬け込んだ調味料のことで、マスタードのピリッとした辛味と果実の甘みが塩で味付けされた肉類ととてもよくマッチします。
また『サルサ・ヴェルデ』は『緑のソース』の意味で、パセリをベースにニンニクやアンチョビ、ビネガーなどを加えて撹拌したソースです。
◆『ボッリート・ミスト』の作り方の注意点
『ボッリート・ミスト』の作り方としては実に簡単で、基本的にはたっぷりの水でお肉を香味野菜(玉ねぎや人参、セロリなど)やハーブ、香辛料と一緒に茹でるだけです。
ただし注意点としては、 1 お肉は水の状態から火にかけて茹で、旨味をじっくりとゆで汁の中に出していくようにします。ただしこのとき、お肉自体にも旨味を残すため、また煮崩れを防ぐために先に下茹でして表面を固めておくことも有効です。
2 香辛料がしっかりと効いたソーセージや脂肪が多かったりクセの強いお肉については、他の材料やゆで汁に強い味が付き風味を損ねる可能性があるため、別で茹でて盛り付けの際に合わせるようにします。
また一緒に茹でるお肉についても、煮崩れないようにそれぞれ適切なタイミングで順次取り出すようにします。
また、お肉を茹でる際に使用した人参などの野菜は付け合わせとして一緒に提供することもできますが、風味はゆで汁に溶け出てしまっているので、別で用意した野菜を塩ゆで、またはこのゆで汁で加熱して付け合わせとした方がよりおいしくいただくことができます。 牛のテールやタンのブロックなど、身近なお店で手軽に手に入りにくい部位もあるものの、骨付きの鶏肉や牛肩ロースのブロックなど普通にスーパーで購入できる食材も多くあります。
メインのお肉や付け合わせの野菜などボリュームたっぷりでありながら、メインは茹でたお肉なのでヘルシーな料理。体の芯から温まりたい冬の食事におススメの一皿です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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